いまいちど、出生率について考えてみませんか?(3)

日本の将来に関する話題として、出生率の低下を取り上げています。前回は、日本の出生率問題は、20歳代の出生率の低迷が原因になっていることを記事にしました。

今回は、世界の出生率合計特殊出生率)に目を向けてみます。日本の出生率を考えるのにあたって世界との違いを見ておくのは重要です。

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世界の主要国(個人的に考えた日本にとっての主要国)と日本の出生率を下のグラフに示します。上のグラフは1960~2017年の出生率、下のグラフは1980~2017年の出世率を拡大したものです。実は、どの国でも出生率が1970年から減少傾向で、1990年以降からは減少度合いが緩やかになる傾向になっています。さらに、2017年には、どの国も出生率が2を下回っており、人口減少傾向となっています。フランスは出生率が高いので有名ですが、2017年では出生率 1.92でした。また、国土面積がほぼ同じドイツと日本は出生率もかなり近い推移をしていますが、2017年ではドイツが少し上昇(ドイツ 1.57、日本1.43)しています。国土面積が日本より小さいイギリスは日本よりも高い出生率1.79となっています。

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参照: https://ourworldindata.org/fertility-rate

前回の記事では、日本では20歳代の出生率低下が原因の一つであることを述べたので、世界の20歳代の状況も見てみます。下のグラフは、2010年と2017年の年代別の出生数(/女性1000人当たり)を示しています。合計特殊出生率のデータがないため出生数を示しています。※中国はデータが無く載せていません。

2010年から2017年の8年間で、35歳以上の出生数が近づいています。一方、20-24歳、25-29歳、30-34歳は国ごとに違います。フランスはいずれの年齢群も高くなっていますが、特に25-29歳と30-34歳が高いのが特徴です。ドイツは2010年では日本とほぼ一致しでしたが、2017年で20-24歳と30-34歳が日本よりも高くなっています。一方、アメリカは他の国と異なり、2010年と2017年の両方で20-24歳の出生数が他の国よりも高くなっています。フランス、アメリカ、イギリスの3国は、25歳以上の出生数が2010年と2017年でほぼ同じ値となっているという特徴もあります。

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参照: http://data.un.org/DocumentData.aspx?id=319

次は、2010年と2017年の出生数の差のグラフです。ドイツが20歳以上の全ての年齢層で増加を示しています。フランスは、15-34歳の出生数が減少しており、特に25-29歳は大幅減少です。アメリカは、15-19歳と20-24が減少ですが、25歳以上で増加しています。お隣の韓国は、かなり変動が大きいです。日本を見てみると、なんと25-39歳では増加しているのですが、15-19歳と20-24歳が減少しています。

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参照: http://data.un.org/DocumentData.aspx?id=319

以上をまとめると次のようになります。

  • 出生率はどの国(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、中国、韓国)も低下している。
  • 出生数は、フランス、アメリカ、イギリスが比較的高い。
  • 面積が日本と同じであるドイツは、20-24歳と30-34歳の出生数が日本よりも高い。さらに、20歳以上のすべての年齢層で出生数が増加している。
  • 日本は、25歳以上は出生数が増加しているが、15-19歳と20-24歳で減少している。

日本では、やはり、20歳前半の出生率の改善が重要であることがわかりました。日本と国土面積が同じであるドイツでは、20歳以上の全ての年齢層で増加しているので、ドイツの政策が出生率改善の参考になる可能性があります。

今回は、日本と世界の状況を比較してみました。 次回は、ドイツの政策を見てみたいと思っています。次回も読んで頂ければ嬉しいです。それでは、また!! 

 

興味がありましたら、今回のシリーズの1回目記事もご覧ください。

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