いまいちど、出生率について考えてみませんか?(2)

日本の将来に関する話題で、出生率の低下が大きな問題になっています。前回は、出生率は「普通出生率」と「合計特殊出生率」の2つがあり、一般的に出生率というと「合計特殊出生率」を意味していることを記事にしました。

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出生率が問題!」というのは良く聞きますが、ちゃんと「出生率の何が問題なのか」を知って人が多いですよね。今回は、問題の根源を知るために「出生率問題」について記事します。

下図は厚生労働省による結構有名なもので、出生数と出生率を重ねたグラフです。これらは関連している指標なので、どちらも減少傾向となっています。過去にベビーブームが2回あり、それぞれ出生数が前後の年よりも高くなっていることも分かります。さらに、「ひのえうま(丙午)で生まれた女の子は男性にとって縁起が悪い」と言われていたため、1966年は激減した特殊な年です。出生数と出生率という関連した指標を扱っているので、重要な報告ですが、このグラフから特に目新しい情報は得られないですね。

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https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/shusshou.html

次に、総人口と出生率の関係性が下のグラフを示します。1947年(昭和22年)の出生率は4.54とでしたが、これは戦後まもなくという事もあり「子供が労働力であったこと」や「成人する前に死亡する多かったこと」から多くの子供を産む必要があったと考えられます。総人口のピークは2010年の約1億2800万人で、そこから減少傾向に転じています。つまり、1920年~2010年約90年以上の間で人口が増加していたことになります。そして、出生率が2を下回る傾向を始まったのは1975年(総人口1億2000万人)からです。今から40年以上前に少子化の兆しは始まっていました。40年前の課題が現代になって顕在化しているということなので、日本の人口減少というのは仕方ないことです。

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参照: 厚生労働省

最後に、年代と年齢別出生率の関係を示します。1930年(全体の出生率 4.71), 1950年(3.65), 1960年(2.00), 2016年(1.44) 時の年齢別合計特殊出生率を示したのが下のグラフです。出生率が2を大きく上回っていた1930年や1950年は、現在2016年とは大きく異なった形をしています。一方、出生率がちょうど2であった1960年と現代2016年の違いを見てみると、実は31歳以上の出生率は2016年の方が1960年を上回っています。しかし、20~29歳の出生率が2016年では大きく下回っています。全体の出生率は1930年からずっと減少していますが、1960年から現代の60年間では、20歳代の出生率に圧倒的な低下が起きていることになります。この20歳代の出生率の圧倒的な低下が、人口減少の原因の1つなんですね。

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参照: 国立社会保障・人口問題研究所

今回は、他のデータを合わせて出生率を見つめなおしてみました。次回は世界の出生率について書く予定です。次回も読んで頂けますと嬉しいです。それでは、また!!