【必読】これからのマネジメントを知るにはコレを読め!
多様性に富んだ社会でのマネジメント
斬新な働き方・人事制度を導入しているサイボウズから、現代のマネジメントとは何かについてを学べる1冊を紹介します。
タイトルは「最軽量のマネジメント(サイボウズ式ブックス)」(1400円)です。
本書は、多様性に富んだ環境での会社組織のありかたについて、サイボウズがどのように対応しているのかを、マネジメントを中心に紹介しているものです。
マネジメントの中心であるマネジャーが主題ですが、それだけではなく会社組織そのもの在り方について記載があるため、会社という組織全体の勉強になる1冊です。
その中でも、今回はマネジャーに関する内容を紹介します。
本書の主張
まず最初に、本書のマネジャーに対する主張はザックリと要約しておきます。
- 現代の多様性に富んだ社会では、今までのマネジャーのやり方では大変すぎる。
- マネジャーに求められる本当の役割とは、メンバーに100人100通りの働き方をしてもらうこと。
それでは、本書の内容の紹介をしていきます。
マネジャーの役割とは?
ISSP(International Society Survery Program)による2015年の「職場の同僚との関係は良いか?」という調査で、日本は調査対象37か国中最下位でした。
- 1位ジョージア 93.7%
- 2位ドイツ 93.4%
- 3位スイス 93.0%
- ...
- 36位ロシア 75.1%
- 37位日本 69.9%
2005年の同様の調査では、日本は81.5%であり、2005年→2015年の10年間で、日本の組織の在り方が多様性の時代に追い付かなくなっている事が分かる結果となっています。
インターネット以前の会社は、情報の収集や伝達するためには、場所と時間に多大なコストがかかっていました。そのため、できるだけ同じ時間と場所にいて効率的な情報収集と伝達を行うために、ピラミッド型(トーナメント型)の会社組織が形成されていきました。
しかし、インターネット以降の世界では、情報は根本的に安価なものとなり、情報格差はなくなりました。
その結果、今までの長い間機能してきたトーナメント型の会社組織では立ちゆかない時代となっています。
現代は、性別、年代、人種、バックグランドなどの様々な人たちによって会社組織が構成されています。
そのような、多様性に富んだ会社組織で一番大変な思いをしているのが「マネジャー」です。
インターネット以前と以降の大きなギャップがある世代の間で、現代は困難なマネジメントスキルをマネジャーは求められています。
サイボウズという会社
サイボウズは、マネジャーをもっとだれでもできる役割にし、抱え込みすぎているマネジメントの仕事と責任を分散させる、つまり、「マネジャー」という役割を、希少価値の高いものではなく、誰にでもできるように大衆化する事に挑戦しました。
人が人を管理することをやめる取り組みを開始し、「100人に100通りの働き方」を合言葉に多様な働き方を実現してきました。
例えば、サイボウズは以下のような制度を一早く導入しています。
- 最長6年の育休
- 育自分休暇制度 35歳以下が、退職後6年間は手戻りできる制度
- 複(副)業自由
- 複業採用 サイボウズ側の仕事を副業とする場合の採用方式
- 働き方宣言制度 いつ、どこで、どれくらい働くかの自由記述式制度
サイボウズは、マネジャーに求める理想像や会社に求める組織像といった古びた考えを捨て、次のような意識をもっています。
- マネジャーは地位でなく役割である ← 今回の紹介する部分
- 徹底的な情報公開をする覚悟をもつ
- 自分が全てを知る必要はなく、誰が何のプロ化を知る
- 組織図はピラミッド型からキャンプファイヤー型に移行する
- 100%の忠誠心ではなく100人100通りの距離感を保つ
- ホワイト企業ではなく透明な企業にする
サイボウズの試行錯誤
そんなサイボウズで昔から上手くいっていたわけではありません。過去にサイボウズは離職率28%と非常に高く、大きな問題となっていました。
そんな最悪の状況の時、著者の山田理さん(現在、取締役副社長)はサイボウズという会社を立て直すために、社員全員とのザツダン(雑談ではなく)を行いました。
- ザツダンとは、マネジャーがメンバーにフィードバックするのではなく、メンバーがマネジャーに話をする時間であり、「メンバーとの会話を通して、マネジャーに届ていない情報を拾い集めること」を意味しています。
ザツダンを通して、マネジャーに関して以下のポイントを見つけました。
マネジャーの一番の恐怖は「分からない事」
マネジャーにとって一番怖いものは、「メンバーの持つ見えない不安や不満が分からない事」ことであり、メンバーの状況や考え、誰が何を得意なのかを知る事の重要である。
重要なのは「数」ではなく、「だれ」が「何のプロフェッショナルのか」又は「やりたいとのか」であり、圧倒的に早く成果が得られる。
メンバーへの理解は、100人100通りの働き方あり、各自にあった環境下で最大のパフォーマンスを発揮してもらう事につながります。
徹底した情報公開が、マネジャーの仕事を減らす
どれだけの情報を公開し社員全員がみられるようにするかが、マネジャーの仕事を減らすための重要なポイントである。
あらゆる情報を可能限り社内共有することで、プロセス・意思決定の効率化、不要な承認の削減、不正の回避をすることができ、結果としてマネジャーの仕事を減らすことができる。
マネジャーには説明責任、メンバーには質問責任
マネジャーは押し付けではなく、メンバーに対して説明責任があり、納得感をもって仕事に取り組んでもらう必要がある。
一方、メンバーは「何が分からないのか」をマネジャーにしっかり質問することで、マネジャーの説明責任を果たせるようにするという質問責任がある。
これらの責任を果たすことで、マネジャーとメンバーの双方で、納得と信頼に基づいた風通しの良い風土をもったチームを構成することができる。
以上に挙げた3点は、「働きやすい環境」と「それまでマネジャーを苦しめていたマネジメントの負担低減」の両立を可能にするもので、これらを実践してくことで、サイボウズの離職率は28%から4%と驚異的な改善となりました。
更に、日本のみならずアメリカにも事業を展開し、100人に100通りの働き方がある考えの基に「働きやすい環境」を作っています。
本書を読んでの感想
- 「マネジャー」の役割を特別ではなく、誰にでもできるように大衆化するというのは面白い取り組みだなと思いました。
自分も上司やマネジャーに、「特別なことをしてもらう」(つまり、導いてもらう、教えてもらう、指針を示してもらう)といった感情を少なからず持っていたという事を認識させてもらいました。
他責の念では、ダメって事ですね。
- 通常の会社では、サイボウズのように大胆な取り組みは難しいと思います。
ただし、多様性に富んだ社会はどんどん進んでいくので、将来的にはどの会社でも最終的にはサイボウズのような取り組み必要になると思います。
近い将来くるであろう「マネジメント像・会社組織の在り方」について知るためにも、本書を読んでおくべきだと思います。
興味ある方ぜひ、読んでみて下さい!!
豆知識
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